小説を書いてみて。

「写真家が、言葉で写した心の揺れ。」

愛とは、選ぶものなのか、選ばれるものなのか。
そして、愛を語るのはどちらなのか――。

 

春のざわめきに揺れる男女の心を、静かに、鋭く、そして残酷なほど繊細に描いた短編小説。

『愛情観察』で女性たちの一瞬を切り取ってきた著者が、言葉で「心の揺らぎ」を描く。

その感情の振幅と深みをぜひ感じてください。


正直ね、ずっと書いてみたかったんですよ。小説。

いやー、大変でした!

やってるときは、書きながらうわーーーって覚醒状態になって「うぉおお!なんだこの神が舞い降りたような美しい文章は!」と思った文章が、翌朝には「なんやこれクソやんけ」となって、書き直す。そんな中学生のラブレターみたいなことを何度も何度も繰り返しました。

普段は写真で、時間の流れを写そうとしていますが、文章で「時間の流れ」を書くことに、すごく苦労しました。風に揺れる桜の花びらや不安な気持ち、言葉でどうやって心の機微や時間の流れを表現するのか、これを考え続ける日々でした。

大好きな昔の文豪の本を何度も読み直してね、辞書とかずーーっとめくってました。移動中でも食事中でも、いい言葉が浮かんだりすると、すかさずメモを取ったりして、ほら、すぐ忘れちゃうんで。

途中、何度も諦めかけました。「ここの部分、言葉出てこないから写真で挿絵入れてごまかしちゃおうかな」なんて何度も思いました。でも、書き続けていくうちに、少しずつ「言葉の面白さ」に没頭できるようになっていきました。削っては書き、書いては削って、を繰り返し、最初は、8000字程度で「よし。完成」だったものが、気づけば34000字に。そうやって少しずつ形になっていきました。

この作品の中では、普段私が撮影している写真と同じように、女性たちの心の揺れを言葉で描きました。『愛情観察』などの、私の写真に登場してくれる女性たちから聞いた恋物語や心の動きが、作品に影響を与えています。

これは私にとって、初めてしっかりと書いた物語です。初めてを言い訳にするつもりはありませんけど、よく書けた方かなと思います。

もちろん、まだまだ言葉の奥深さに燃焼しきれていないと感じています。

日々言葉を扱っている方々は、ほんとにすごい。
改めて本当に尊敬の念しかありません。

 

あ、ちなみにタイトルの「はなちるさと」は源氏物語の登場人物の中で最も好きなひとり、花散里から拝借いたしました。「花散里」の名前は彼女の住んでいた邸宅が桜の花が散る頃にひときわ美しく風情があることからつけられたそうです。

ぜひ、読んでいただけたら、嬉しいです。

 

そして最後に、これが書き上がるまでに部屋に篭りっぱなしだった私を、文句一つ言わずに支えてくれた妻には心から感謝の気持ちを贈りたいと思います。ありがとう!

 

相澤義和 初短編小説「はなちるさと」

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はなちるさと

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